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困難な症例が増加しているのも事実

しかし、実際に「困難な治療ケース」もあり、緊張して対処することがある。最近では、私のクリニックを訪ねて来られる患者さんの中に、他院で目の下の治療をすでに数回行ってきた方が増えている。これが、医者としてありかたくもつらい話なのだ。正直に申し上げると、目の下の治療は回数が増えるほど、娠痕と呼ばれる組織が増える。そのため、技術的にも複雑で難度も高くなるが、患者さんの方では当然、現状より優れた結果を期待して、私の治療に望みをかけて訪ねてきてくださっている。「お引き受けすべきか、どうか?」と悩むようなケースも少なくないのは、「確信が得られなければ治療すべきではない」と思うからだ。しかし、幸いこれまでのところ、治療をあきらめたことはなく、すべて良好な結果を得ている。これらの困難ケースをあえてお引受けするのは、私自身の信念にもよる。それは、困難な治療から逃げ出してしまっては、プロの医師とはいえない、という思いもまた強くあるからだ。わかりやすい話が、プロのスポーツ選手のあり方がよき手本である。。イチローも松井も、いともたやすく、無造作に、ヒットやホームランを打ち続けているが、相手チームのピッチヤヽ‐−はといえば、常に自在に癖玉を投げてバッターを恐れさせる強者ぞろいなのだ。つまりは、千変万化の癖玉をヒットさせてこそのプロ。複数の治療を経て結果が得られなかった困難症例は、滅多なことではそこから逃げ出せないプロの正念場だ。別の言葉でいえば、そこを越えなければ医師としての技術の向上もない、というハードルの一つである。そういう意味では、外科医として10年間経験を積んできた私が最も集中力を発揮できるこの時期に、毎日4〜5人の手術を行い、さまざまな症例を1500例以上手掛けてきたという事実には、言葉であらわすことのできない思いがある。なぜなら、それは幾多の症例ケースにとどまらず、私にとって無数の人との出会いであり、ドラマであったからだ。