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自殺念慮を訴える患者と向き合う

自殺念慮を訴える患者と向き合うとき、大事なことは、その訴えの重みを十分に受け止めることと、治療者が重く受け止めたということを本人にしっかり伝えることです。企図のイメージを具体的に語らせるというのも、そのための一つの手段であるわけです。「自殺しないと約束させる」という方法を勧める人もいますが、私はあまり用いません。なにか情に訴える仕方が嘘くさく、偽善的に感じられるからです。治療者は、患者さんにとって、煎じ詰めれば赤の他人です。そんな人と約束してみても仕方ないのではないでしょうか。これは趣味の問題ですが、私は、赤の他人として向き合う、その最善の仕方を追求しているところがあります。もっとも、一種の緊急事態ですから、偽善であろうと役に立つ方法なら何でも用いようという考え方もあるでしょう。それはそれで私は否定しません。なお、情に訴えるという意味では矛盾するようですが、「そんなことしたら、家族が心配するでしょう」などと、家族を引き合いに出す言い方はよくします(家族が同伴している場合は特に)。