いままで大多数の人は、歴史に名を残すことなく生まれては死んでいった。ごく一部の人だけが、絵を残したり曲を残したり本を残したりして、歴史に自分の存在を刻印していった。ひとつには社会全体の情報処理能力が大きくなかったから、刻印できる人の数そのものが多くなかったのだ。いくら残しても歴史の彼方に埋もれていくしかなかった。いまはコンピューターによるデータベースがある。どんな人でもどんな本でも、本を出したという情報はデータベースに書きこまれていく。データベースに書きこまれ、検索されるようになってさえいれば、出版された数々の「本」は、そのとき読まれなかったとしても、何十年何百年か経って真価が発見されることもある。そうした少部数・大点数を支えるべき技術は、紙の印刷技法としてはオンデマンド印刷やCTPがある。インターネット側では、高速大容量化はむろんのこと、ディスプレイの精細化・軽量化がなされている。新時代の「本」を支える技術は、すでに現実のものとなりつつある。電子マネーといった、ネット環境での課金システムについても研究が進んでいる。そしてインターネット・ホームページに表された大量の自己表現と、それを重要な情報源としている多くの人々。これをどうくみあわせ、どう売っていくか。そこにこそ印刷と出版の未来があると思うのだが、如何?
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